Febian Reza Pane Live Information

ピアニスト・作曲家、フェビアン・レザ・パネのコンサート、ライヴ情報を掲載しています。Yahoo Blog閉鎖に伴い、旧ブログの内容をこちらに引き継ぎ2019年10月にスタートしました。

7/7大塚GRECOソロ・ライヴの動画を1曲アップロードしました。
1994年のアルバム「ガネーシャの夢」に収録したBOROBUDURNew Versionです。この曲はインドネシアのルーツを本格的に探求して行く90年代後半よりも前の曲で、画家の黒田克正氏によるライヴ・ペインティングとのコラボレーションを行ったコンサートで幻のように浮かび上がって来たボロブドゥール遺跡を見ながら即興的に紡いだメロディーを後に曲として仕立てたものでした。

2000年代以降、しばらく自分のアイデンティティー探しからは意識が離れていましたが、この数年改めて考えるようになるとともにBOROBUDURが再び重要なレパートリーとして復活して来ました。さらにこの曲に新たな光を当てる最初のきっかけは、2015年に大塚GRECOで行った映像とのコラボレーション・ライヴでした。アニメーション作家・廣安正敬氏による美しく幻想的な映像は、今回のライヴ・アルバムDivine Destinyの素晴らしいジャケット・コンセプトに繋がって行きました。

もう一つの大きなきっかけは今年の春にギタリスト宮野弘紀氏とのライヴでこの曲を初めてデュオで演奏したことです。近年ますます自分の曲はソロでしか演奏できない、あるいはしたくない聖域のようなものとして捉えていた自分にとって、デュオでの演奏はこの曲に新たな光を当てる重要なきっかけになりました。

そうして新しいストーリーが加わったBOROBUDURはソロ・ライヴの最後を担う曲としてバージョン・アップしました。

この映像はそんなNew Versionの最後の数分間です。
まだ完成形には至っていない部分があり、作曲家的見地から言うともう少し細部の書き込みをした方が良いのかもしれませんが、あえて書き込んでしまわずに楽想を水蒸気のようなもののままにしておくことで、逆にその場その場で生まれ出るものの新鮮さが際立つ場合もあります。もっとも、この演奏におけるその成功率はまだ高くないのですが。

作曲と即興のはざまで揺れ動く我が心もちろん、聴き手に対してはそうした作者の葛藤とは関係のないところでまず美しく響いていることが重要です。


7/1 Studio WUUソロ・ライヴの動画をもう1曲アップロードしました。
Grand Illusionは新しいライヴCDにも収録していますが、元々は1992年にリリースしたDick Leeのミュージカル「Nagraland」のイメージ・アルバム「Voicenesia」のために作った曲です。あれから四半世紀が過ぎてしまいましたが、中間部にインドネシアのGamelan musicやインド音楽の要素を加えることで今でも新鮮に演奏できています。インドの神ブラフマ(Brahma)のとても長~い呼吸をイメージして作った曲なので、1999年のアルバム「ミンピ(Mimpi)」にはBrahma's Illusionとして収録しています。
演奏は曲の途中からになりますが、是非ご覧下さい。


New CDが無事到着し、7/1のStudio WUUソロライヴより販売を開始しました。
今回のアルバムは2014年以降のStudio WUUソロライヴ音源のセレクションです。
この間、ほぼ毎回演奏して来た曲がいくつかあり、今回のセレクションはそのほとんどが定番曲と言えるレパートリーによって構成されています。
私の曲にはメロディーとコード進行が決まっていてもそれらを1曲の中でどのように紡いで行くかについてはその時々の気分で自由に決めるものが多く、さらにテンポ感の変化の仕方はおそらく他にはなかなかない感覚だと思います。

曲のテンポが伸び縮みする感覚はクラシックを勉強して来た人にとってはごく当たり前のものですが、自分の曲にはクラシック音楽のようにフレーズから導き出されるテンポの伸縮という要素も多少あるものの、それよりも非常に感覚的にテンポが変化します。例えばジョギングをしていて少しペースを上げ過ぎたから落とそう、とかプールでゆっくり泳いでいたけどちょっと速くしたくなった、のように瞬時の閃きの積み重ねで1曲が紡がれて行きます。その時々の呼吸感のようなものでもあります。さらに、ソロなのでこうしたい!と思った瞬間に変えることができるのも大きな喜びです。

ただ、一定のメロディーとコード進行がある以上外してはしまえない曲の器に対して、まだ見ぬ世界を見たい、もっと自由でいたいと思う感覚をどのように融合して行くかについては随分長い間試行錯誤して来たのですが、去年あたりから一歩進んだ答えが見えて来たように感じていました。そして、今回アルバムを作るタイミングはその答えが見えて来ることで自分の音楽表現が新たな局面を迎えて行く過渡期に当たっていて、そこを完全に通り過ぎてしまったからでは遅いと思っていました。

一昨日の演奏中、全ての場面での実現は叶いませんでしたが、どこまでも淀みなく流れる水や瑞々しく滴り落ちる雫そのものになったかのような演奏が以前よりも楽に出来ていることに気付きました。より自然体でいられるようになったのかもしれません。
一昨日の演奏テイクからセレクトしたライヴ・アルバムも作れそうな気持ちで、それは今回のライヴ・アルバムとはまた違う印象を与えるはずですが、やはりその前にこの数年間の自分のソロライヴ活動を総括しておく必要があって、その先に初めて感じる境地だったのだと思います。

できれば最新の演奏を聴いていただきたいところですが、この数年間の私のフォトアルバムを見るような感覚で今回のアルバムを聴いていただけたら嬉しいです。

次回のソロライヴは今週末の7/7(土)大塚GRECO(19:00start)になります。都内でのソロライヴの機会はもう年内にはないかもしれないので、どうかお聞き逃しなく!(次回のStudio WUUは11月の予定です。関西では8/5神戸・青谷音楽堂が決定、さらに11/11には高槻・STUDIO73でも開催予定です。)

P.S. 7/1の動画をごく一部ですが編集してアップロードしてみました。ここからYouTubeへのリンクはできないようなのでURLを記載しておきます。宜しければ是非ご覧ください。定番曲「竹富島のおもひで」へのイントロダクション部分です。自然の美しさとともに自然への畏敬の念、災害をもたらす脅威をも感じながら…

https://youtu.be/gM1_lclhJTs

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